皆さんは蜂の巣がどのように作られているのか知っていますか?
蜂の巣が作られる材料やプロセスを知ることで、蜂を駆除する際、事前に対策を練ることができます。
例えばアシナガバチやスズメバチは木の繊維を材料にしますが、ミツバチは「蜜ろう」と呼ばれる花の蜜から生成される材料を使って巣を作っていきます。
このように、蜂の巣は蜂の種類によって異なり、形、材料、作られるスピードがそれぞれ違ってきます。
ここでは、蜂の種類ごとに蜂の巣が作られる過程や材料などについて解説していきます。
是非、お家にできている蜂の巣がどの蜂ものなのか知りたいときに参考にしていただければと思います。
蜂の種類によって作られ方・時期・原材料が違う
蜂は種類によってその構造や時期、巣の材料が下記のように異なります。
蜂の種類 | 作り方 | 作りはじめの時期 | 材料 |
アシナガバチ | 正確な六角形・巣穴がむき出し | 4月下旬から(5月ごろまでは女王蜂のみ) | 木の繊維と薄くのばした草 |
スズメバチ | 丸いお椀型・縞模様 | 4月ごろから(5月ごろまでは女王蜂のみ) | 木の繊維 |
ミツバチ | 巣板が何層にも重なる | 4月ごろから(働き蜂と共に作る) | 花蜜 |
トックリバチ | 徳利のような形 | 6月ごろから(単独で) | 泥 |
スズバチ | お椀のような形 | 7月ごろから(単独で) | 泥 |
特に間違えやすいのが、「トックリバチ」と「スズバチ」です。
スズバチやトックリバチはアシナガバチやスズメバチによく似ていることから危険性の高い蜂と間違えられやすいですが、大人しい性格でめったに人を襲うことはしません。
また、活動時期や巣の形状も大きく異なります。
詳しくは次章から解説していきますので、参考にしていただければと思います。
蜂の種類別の作られ方
では、蜂の種類によってどのように違ってくるのか一つずつ解説していきます。
アシナガバチの巣の作り方
アシナガバチは、木から皮を薄く剥がし、木の繊維を唾液や集めた草と混ぜ合わせて作っていきます。
アシナガバチは、隣の部屋と等間隔に作るために触角を物差し代わりに使って作っていきます。
そのため、アシナガバチの巣は正確な六角形の形をしています。
アシナガバチの巣は、細い枝などに作るために薄くて軽い丈夫な材料を使っているのもアシナガバチならではの特徴だといえます。
アシナガバチに関する生態については、【アシナガバチの巣を見つけた!駆除方法とアシナガバチの生態を解説】を参考にしていただければと思います。
スズメバチの巣の作り方
スズメバチの巣は、初夏に冬眠から目覚めた女王蜂が巣作りを始めます。
この頃に作られる巣は直径で6センチほどしかなく、また冬眠から目覚めた女王蜂は体力があまりなくフラフラと飛行しながら巣作りを行っています。
巣のなかでは、女王蜂が一匹で幼虫を育てたり、巣の中からも巣作りを進めています。
初夏が終わり、本格的な夏になると女王蜂が育てていた幼虫が働き蜂として成長し、活動を始めます。
夏から秋にかけて働き蜂が増えはじめると、巣の大きさは最大で50センチほどまで成長します。
この頃から巣のなかでは、女王蜂に代わり働き蜂が雄のスズメバチや幼虫のお世話をしつつ、仲間のために巣をどんどん大きくしていきます。
巣の材料は、様々な木の繊維を使って作られています。
スズメバチは鋭いアゴで木の皮を噛み砕き、自身の唾液と混ぜ合わせて巣を作っていきます。
ちなみに、スズメバチの巣がしましま模様なのは、様々な木から採取して巣の材料にしていくので、まばらな柄になっていくのです。
巣の内部は、幼虫のいる部屋が何段にも積み重ねられており、幼虫の数に合わせて作られていくので、部屋の数が千以上になることもあります。
巣の外壁は幼虫や卵を暑さや寒さから守るために、何層にも重なっています。
スズメバチの生態については、【スズメバチをみつけた!駆除する際の注意点と見分け方やとるべき行動】を参考にしていただければと思います。
ミツバチの巣の作り方
ミツバチの巣は、「巣板」と呼ばれる平面状の構造が何層にも重なっている形をしています。
巣板を外部から守る防壁は作らず、木のウロや家屋の隙間、床下など閉鎖的な空間につくることで巣板がむき出しになっていたとしても、他の敵から守ることができるようになっています。
ミツバチは働き蜂が持つ、「蜜ろう」と呼ばれる成分を分泌するものを採取したはなの蜜から生成し、巣の材料にしています。
ミツバチの巣は、六角柱の巣穴が平面上に接続した「ハニカム構造」と呼ばれる構造をしています。
この構造は、壁の厚さが0.1センチ程度であることと材料が少ないにもかかわらず、強度に優れているとされています。
ちなみに、ミツバチのハニカム構造は、航空機やロケットといった軽くて丈夫な構造を必要とする機械に応用されています。
ミツバチの巣板は、蜂の子が入る巣穴は奥行きが10~15ミリ、ハチミツの貯蔵庫は20ミリ程度となっており、穴の底は三角錐のようににすぼまっています。
ミツバチの生態については、【ミツバチが巣を作る場所「ミツバチの巣を駆除する前にその生態を知ろう!」】をご覧ください。
トックリバチの巣の作り方
トックリバチとは、その名前から巣の形が「徳利」のような形をしています。
トックリバチは「ドロバチ」と呼ばれる仲間で、「ドロ」という名前から泥と自身の唾液、水を混ぜて巣を生成していきます。
トックリバチの巣は、スズメバチやアシナガバチのような大規模な巣は作らず、一匹程度~数匹程度の幼虫や成虫が出入りできる小規模な蜂の巣を作ります。
そのため、大きさ的には8~12センチ程度ではあるものの、少しでも空洞で筒状になっている場所であれば巣を作ってしまいます。
巣が作られたからといって不用意に潰してしまうと、トックリバチのエサである青虫が大量に出てくる可能性もあるので非常に厄介な蜂でもあります。
トックリバチの生態については、【Wikipedia「ドロバチ亜科」】にて知ることができますので参考にしていただければと思います。
スズバチの巣の作り方
スズバチは、見た目や名前からスズメバチを見間違えることが多い蜂とされていますが、その巣の特徴はまるで違います。
スズバチもトックリバチと同じく「ドロバチ」と呼ばれる仲間に属しており、泥や唾液を混ぜて小規模な巣を形成していきます。
ドロバチはスズメバチやミツバチのように群れをなして行動することはないため、巣の幼虫室も5個~10個程度しか作ることがありません。
スズバチは泥を楕円形に固めたような巣をつくります。中は粘土によって、5個~10個の幼虫室がつくられており、それを更に強固な土で覆った構造になっています。
ちなみに、スズバチの幼虫や成虫のエサは、トックリバチと同じく青虫が餌とされています。
トックリバチに関する生態やその特徴については、【トックリバチは危険?特徴と安全な対処方法を解説】を参考にしてみてください。
以上、蜂の種類ごとに蜂の巣の特徴について解説していきましたが、万が一蜂の巣ができてしまった場合や作られているかもしれないという方は下記の記事を参考にしていただければと思います。
- 自分で駆除できそうなくらいの蜂の巣があるー【蜂の巣を作らせない!効果的な予防・対策まとめ】
- 蜂の巣ができにくくする方法が知りたいー【自分で蜂の巣は駆除できる?安全にできる駆除方法と注意点】
まとめ
今回は、蜂の種類によって巣の材料や作られ方のどのような違いがあるのか解説していきました。
アシナガバチやスズメバチの巣に必要な木が多い場所であると、こうした蜂の巣が作られやすく、逆に花が多く咲いている場所だとミツバチやクマバチといった花の蜜を必要とする蜂の巣ができやすいということが分かります。
蜂の巣は、様々な環境に適応しながらできていくので、先に解説したような環境でなくとも蜂の巣ができてしまうことがあります。
「最近蜂をよく見かける」「蜂の巣があるがどうすればいいのか分からない」という方は早急に専門業者に相談するようにしましょう。
【ハチ駆除センター】でもご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。