アシナガバチの活動期は非常に攻撃性が高く、この時期に巣を駆除しようとするとかえって危険です。
なぜなら、アシナガバチの毒は致死性が高く、刺されるとアナフィラキシーショックを起こして死に至ることがあるからです。
そのため、刺されないようにするためにも適切なタイミングで巣を駆除すること、巣を作らせないようにすることなどの対策を行う必要があります。
そこで、この記事ではアシナガバチの生態や巣の特徴、巣を作らせない予防方法や駆除方法をご紹介していきます。
是非、家の周りでアシナガバチを見かけた、アシナガバチの巣ができてしまったときの参考にしていただければと思います。
アシナガバチが巣を作る時期~活動時期について~
アシナガバチの活動時期は4月~11月ごろとされており、12月~3月は冬眠の時期になります。
アシナガバチの活動時期は夏ごろにかけてが最も攻撃性が高く、この時期に巣を駆除しようとするとかえって危険な行為です。
駆除を検討するのであれば、春先や冬眠の時期を狙って行うとよいでしょう。
4月~5月ごろ
4月~5月ごろに見かけるアシナガバチは、冬眠から目が覚めて間もない女王蜂です。
アシナガバチの女王蜂は冬眠から目覚めると産卵、幼虫の世話、営巣などを単独で行います。
冬眠から目が覚めて間もない女王蜂は、単独で巣作りを行ったり、幼虫の世話をしなければならないのであまり体力がなく、攻撃性はそこまで高くありません。
そのため、春先にできた巣はまだまだ小さく、働き蜂もあまり羽化していないので駆除をするのであればこの時期に行うのがおすすめです。
6月~8月ごろ
6月ごろになると、働き蜂が羽化をし始め、羽化後は営巣や幼虫のお世話などを積極的に行います。
働き蜂が一斉に活動を始めるのでこの時期に巣に手を出すと一斉に襲われる可能性があります。
夏ごろのアシナガバチには手を出さず、その場を離れるようにしましょう。
ちなみにアシナガバチの働き蜂は全てメスとされており、毒針を持っているのはメスだけとされています。
アシナガバチのオスはメスに育てられ、繁殖のためだけに育てられます。
9月~11月ごろ
秋ごろに入ると新しい女王蜂が誕生し、オスのハチと繁殖活動を行います。
繁殖時期は多数のハチや新しい女王蜂が一斉に飛び出すので、攻撃性が高くなると思うかもしれませんが、オスのハチは毒針がないことと、産まれたばかりの新しい女王蜂は体力が少ないため夏に比べると攻撃性は低くなります。
新しい女王蜂はお腹に精子をためて巣立ち、越冬の準備を行います。
ちなみに、繁殖を終えたオス蜂はやがて死にます。
また、古い女王蜂や働き蜂もやがて衰弱し、新しい女王蜂へと世代交代されます。
そのため、巣からアシナガバチがどんどんいなくなるので越冬の時期前を狙うと比較的楽に巣を撤去できるのではないかと思います。
越冬時期
越冬時期は新しい巣を作るための場所を探しているため、冬場でもアシナガバチを見かけることがあるのではないかと思います。
寒さをしのぐために洗濯物の影に隠れていたり民家の隙間に入りこむこともあります。
こうした場所でうっかりアシナガバチに触れてしまうと刺されるおそれがあります。
また、アシナガバチは集団で越冬を行うため、うっかり刺激してしまうと集団で攻撃される恐れがあります。
ここ最近は温暖化の影響でアシナガバチの寿命が長くなり、冬場でも積極的に活動していることもあるので十分注意するようにしましょう。
アシナガバチの巣やその生態について
日本ではおよそ12種のアシナガバチが確認されており、全国に分布しています。
特によく見られるのが下記の7種です。
- セグロアシナガバチ
- キアシナガバチ
- フタモンアシナガバチ
- コアシナガバチ
- キボシアシナガバチ
- ヤマトアシナガバチ
- ヨーロッパアシナガバチ
アシナガバチはスズメバチに比べると比較的おとなしい性格とされていますが、活動時期は攻撃性は高く、毒性が強いので刺されるとアナフィラキシーショックを起こしてしまうことがあります。
家の近くで見かけたら近づかず、巣を見つけたら早急に駆除を検討するようにしましょう。
アシナガバチの特徴や巣について
アシナガバチは体長1㎝~3㎝程度の大きさであり、見た目はスズメバチに似ています。
大きな違いとしては、スズメバチに比べて比較的小柄であることと、何より「アシナガバチ」というその名前から脚が長いことが特徴です。
主な餌は蝶や蛾の幼虫をかみ砕き、肉団子にして幼虫にあげます。
花の蜜なども好みますが、ミツバチのように蜜や花粉を集めることはしません。
巣は樹皮などを主成分としていることから強靭な硬さを誇っているので、大きな巣となると手でもぎることが難しく、工具を使用しなければ取れないこともあります。
他にも種類によって毒性や性格が違ってくるので、特に目撃されるアシナガバチについてそれぞれご紹介していきます。
セグロアシナガバチ
- 体長20~26㎝
- 体全体が黒く、黄褐色の斑紋がある
- 北海道以外に分布
- 毒性はやや強め
多くの市街地で目撃され、洗濯物の影などに潜んで刺傷されることがあります。
おとなしい性格ではありますが、毒性が強めなので刺されたらすぐに対処するようにしましょう。
キアシナガバチ
- 体長20~26㎝
- 体全体が黒いものの、黄色が目立つ
- 全国に分布
- 好戦的な性格であり、毒性が強い
日本で確認されるアシナガバチのなかで最も毒性が強く、攻撃性が高いハチになります。
スズメバチに刺されるような激痛を伴うので、キアシナガバチを見かけたらそっと離れるようにしましょう。
また、雑木林などで見かけることが多く、ハイキングやキャンプでの被害が多く報告されています。
フタモンアシナガバチ
- 体長14~18㎝
- 腹部に黄色い2つの斑がある
- おとなしい性格
- 日本全国に分布する
壁面に対して横向きに巣を作ることが多く、特徴的な巣をしています。
比較的おとなしい性格で、積極的に襲ってくることはありません。
コアシナガバチ
- 体長11~17㎝
- セグロアシナガバチのような模様をしている
- 毒性が強い
反り返ったような大きな巣を作る、日本で最も小さなアシナガバチです。
小さいものの、その毒性は強く、スズメバチに匹敵するほどの激痛を伴う毒性があります。
アシナガバチの危険性
スズメバチに比べると比較的おとなしい性格ですが、むやみに巣をつついたり、アシナガバチの存在に気付かずに刺激して刺傷してしまう事故があります。
スズメバチに比べると毒性は低いものの、アナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があるので十分注意する必要があります。
また、働き蜂が積極的に活動を始める夏ごろは特に攻撃性が高くなります。
益虫としての役割
アシナガバチは人を襲うハチと恐れられていますが、実は益虫としての役割があります。
蛾や蝶の幼虫を食べてくれるため、葉物野菜についてしまう幼虫が少なくなります。
殺虫剤や防虫ネットを使用せず野菜を育てることができるため、無農薬で作ることができるほど幼虫を寄せ付けにくくすることができます。
また、蜂の子は食用として食べることができる役割もあります。
アシナガバチの巣を作らせないようにするには?
アシナガバチの巣を作らせないようにするためには、女王蜂は目覚める3月~5月に対策を行う必要があります。
アシナガバチの巣が作られやすい軒下、ベランダ、エアコンの室外機などに殺虫スプレーを定期的に噴霧します。
殺虫スプレーの表記事項に従って、継続的に行うと営巣されにくくなります。
また、「ダミー」のハチの巣をつけることで営巣されにくくなるという方法もあります。
是非、こちらに詳しく書かれていますのでご覧ください。
参考:Jタウンネット「軒先に「ダミーハチの巣」をつるすとハチが寄り付かなくなるってホント? 専門家に聞いた」
ただし、どちらも全く営巣されるわけではないので巣が作られてしまったら駆除を依頼するようにしましょう。
アシナガバチの巣を駆除する方法
アシナガバチの駆除は春先の小さな巣であれば、自分で行うことも可能です。
自分で行う方法については、こちらの記事をご覧ください。
しかし、6月以降に働き蜂がかえるとアシナガバチの攻撃性が高くなりますので、夏場にアシナガバチの巣を見つけたら自治体や駆除業者に依頼するようにしましょう。
アシナガバチの巣がどこにあるか分からない場合も駆除業者に相談することも可能ですが、下記の記事でどこに巣が作られているのか効率よく探すことも可能なので、巣が作られ始める春先にセルフチェックすると良いでしょう。
参考:ウェザーニュース「スズメバチやアシナガバチの巣に注意!できやすい場所チェックリスト」
まとめ
今回は、アシナガバチの生態や巣についてご紹介していきました。
アシナガバチの巣は女王蜂が目覚めるタイミングに合わせて予防すれば、巣が作りにくくさせることができます。
ただし、夏に入るとなかなか駆除することが難しくなるので自分たちで駆除しようとせず、自治体や駆除業者に依頼するようにしましょう。
【ハチ駆除センター】でもご依頼を承っておりますので、一度ご相談ください。